175 : Franz Lehár [楽興の時]
Franz Lehár
Franz Lehár
フランツ・レハール(ドイツ語: Franz Lehár, 1870年4月30日 - 1948年10月24日)はオーストリア=ハンガリー帝国に生まれ、オーストリア、ドイツを中心にオペレッタの作曲により活躍した作曲家。
♪稀代の旋律作家レハールの魅力がつまった名ワルツ
フランツ・レハールはハンガリーのコマーロム出身の作曲家です。
作曲のジャンルは交響詩やピアノソナタを含め、多岐にわたりましたが、何と言ってもオペレッタでの成功が圧倒的です。
ヨハン・シュトラウス2世以降、最大にして最後の喜歌劇作曲家ともいえます。
1870年生まれのレハールは、吹奏楽団の隊長だった父から音楽を習い、1882年から1888年まではプラハ音楽院に学びました。
そこで作曲した二つのピアノソナタがドヴォルザークの目にとまり、作曲家になることを勧められました。
卒業後はエルベルフェルトの劇場の管弦楽団で第一ヴァイオリンを弾き、その後は作曲の時間を作るため、父の楽団の楽長次席となり、二十歳となった1890年からは、各地の楽団の指揮者を務めました。
そして1902年に喜歌劇「ウィーンの女」がヒットしたことを機に、いよいよ作曲家としての道を本格的に歩み始めたのでした。
喜歌劇やそこから編曲のワルツなどが有名なレハールですが、『金と銀』は始めから独立した管弦楽曲として作曲されたワルツです。
1902年の謝肉祭の間に催された、ある舞踏会のために作曲されました。
主催は当時のウィーン社交界の中心人物であったパウリーネ・メッテルニヒ侯爵夫人。
彼女は毎年、謝肉祭で開かれる舞踏会にテーマをつけていました。
レハールが作曲の依頼を受けた、その年のテーマは「金と銀」。
会場は銀色に照らされ、天井には金色の星が煌き、壁一面に金銀の飾りが付けられ、参加者も金銀に彩られた思い思いの装飾を纏っていたと伝えられています。
1902年1月27日に開催された舞踏会でお披露目されたワルツ『金と銀』は、 当初はウィーンでもあまり話題になりませんでしたが、譜面が出版されるとその年には、ロンドン、ニューヨーク、パリ、ベルリン、モスクワとたちまち大ヒットを記録。
今日ではレハールの代表作として、また代表的なウィンナワルツとして世界中で愛され、ヨハン・シュトラウス2世等の作品と共によく演奏されています。
魅力的な旋律が次々と並ぶ様は、師匠のドヴォルザークに勝るとも劣らずで、類まれなメロディーメイカーとしての実力が存分に発揮されています。
シュトラウスの「美しく青きドナウ」と頂点を二分するワルツと言えましょう。
生涯
ドイツ人を両親にハンガリーのコマーロムに生まれる。
父フランツは元々スロヴァキアへの植民者だが軍楽隊長として帝国内の転勤族、母クリスティーネはハンガリーへの植民者であった。プラハ音楽院でドヴォルザークらに学び、軍楽隊長を経てウィーンでオペレッタ作曲家としてデビュー。
「銀の時代」とよばれたオペレッタの第二黄金期を代表する作曲家となる。
1905年、『メリー・ウィドウ』で一躍人気作曲家となる。
1909年発表の代表作『ルクセンブルク伯爵』はこれと系統を同じくする喜劇だが、その後徐々に作風を転換。
従来のオペレッタの喜劇一辺倒を脱し、ある程度の笑いをおりまぜつつも基本はシリアスに展開する独自の形を確立していく。
特に、1925年に初演された『パガニーニ』、1927年の『ロシアの皇太子』、そして1929年の『微笑みの国』は、これまでのオペレッタには無かった悲劇であり、レハール独特のウィンナ・オペレッタ路線を象徴する傑作である。
この路線はウィーンでは必ずしも歓迎されず、上演拠点はベルリンに移された。
1934年若き総監督クレメンス・クラウスから依頼された初のウィーン国立歌劇場上演作品『ジュディッタ』以後は筆を折る。
これをもってウィンナ・オペレッタの終焉と位置づける専門家も多い。
ナチス党率いるドイツがオーストリアを統合した後には、夫人ゾフィー(旧姓パシュキス)がユダヤ人の生まれ(レハールとの結婚に伴いカトリックに改宗)であったにも拘らずナチス党政権からの庇護を受けたが、そのもとで新作を発表することはなかった。
第二次世界大戦が終結しオーストリアが復活して3年後の1948年に、同国のザルツブルク近郊のバート・イシュルで亡くなり、同地に埋葬された。
レハールとナチスの関係
夫人がユダヤ人であるにも関わらずナチスの庇護を受けた理由は、『メリー・ウィドウ』がヒトラーの好きな作品であったためである。
レハールは『メリー・ウィドウ』のスコアをヒトラーに贈っており、ここからもレハールとナチスとの関係がうかがえる。
しかし、このナチスとの関係は、レハールと彼の周囲の人々に大きな不幸をもたらす事になる。
微笑みの国』の台本を担当し、同作品中今もスタンダード・ナンバーとして愛される『君こそ我が心のすべて』を作詞したユダヤ人作家フリッツ・レーナー=ベーダは、ナチスと親しいレハールを頼る事で強制収容所送りを免れようとした。
しかし、レハールはナチスに夫人のことを持ち出されて、この件に口出しすることを禁じられ、結果レーナー・ベーダは強制収容所に送られて1944年死亡したとされている。
この一件以後レハールは終戦まで沈黙を余儀なくされた。
レハール自身は政治に関してほとんど無関心であったにも関わらず、戦後レハールはこの一件によって「ナチスへの協力者」として非難される事となった。
ヨーゼフ・ゲッベルス(右)と
レハール作品の特色
東欧植民ドイツ人の家に生まれ、自身ハンガリーやチェコに長く住み、ウィーンに落ち着いて後半生はベルリンを上演の拠点としたレハールの作品は国際性豊かである。
特にバルカンを含めた東欧情緒は色濃い。
ただし、生地からハンガリー人と表記されることがあるにもかかわらず、民族的にもハンガリー人であるカールマンと比べるとハンガリー情趣を前面に出すことは意外に少ない。
ちなみに『メリー・ウィドウ』は、一括輸入をふくめ過去12種類の録音録画が国内販売されたが、ハンガリー人指揮者によるものはひとつもない。
また、同国を代表する作曲家バルトークは『管弦楽のための協奏曲』に『メリー・ウィドウ』の一節を引用しているが、これはショスタコーヴィチの交響曲第7番に引用されたものの孫引きで、このオペレッタ自体を一度も耳にしたことがなかったという。
メロディメーカーとしては天分にめぐまれ、甘く夢見るような旋律美は今なおドイツ語圏のみならず世界中の歌劇場で愛されている。代表作に上記のほか、オペレッタ『ルクセンブルク伯爵』、ワルツ『金と銀』など。
ちなみに、オペレッタの作品中演奏される歌の数々も、今日でもヨーロッパのスタンダード・ナンバーとして残っており、映画音楽として用いられる事もある。
例えば、『メリー・ウィドウ』では、第2幕の『ヴィリアの歌』や第3幕の二重唱『唇は黙し、ヴァイオリンは囁く』(メリー・ウィドウ・ワルツ)などは、ルキノ・ヴィスコンティの映画『ベニスに死す』で主人公アッシェンバッハが美少年タージオに出会う場面で使われている。
他にも『君こそ我が心のすべて』(『微笑みの国』)、『ルクセンブルク伯爵』の『微笑みかける幸福』なども有名である。
シュトラウスやカールマンのオペレッタが、三、四の代表作以外はほぼ忘れ去られているのに対しレハールは、上記作品のほか、『ウィーンの女たち』『ジプシーの恋』『エヴァ』『フリーデリケ』など、もっとも多くの作品が上演・録音され続けているオペレッタ作家である。
作品
オペレッタ
・『メリー・ウィドウ』
・『針金細工師』
・『ルクセンブルク伯爵』
・『ジプシーの恋』
・『エヴァ』
・『天文学者』
・『春』
・『フリーデリケ』
・『この世は美しい』
・『パガニーニ』
・『ロシアの皇太子』
・『微笑みの国』
・『ひばりの囀るところに』
・『ジュディッタ』
管弦楽曲
・ワルツ『金と銀』
・『アドリア・ワルツ』
1912年、仕事場でのレハール
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おはようございます。
最近はニューイヤーコンサート等も機会無くなりワルツ縁遠くなりました。
何時もありがとうございます。
by YUTAじい (2016-08-27 08:10)
YUTAじいさん おはようございます。 迷走台風10号の動きが面白くないですね・・・
迷走中に勢力を拡大して、そろそろ北上を始めそうです。週明けは関東地方には接近しそうです。
最近TVでも、ワルツはあまり聴く機会がなくなりました。おっしゃる通り新年とか、特別な場合に放送されるぐらいですね・・・
まあ ソシアルダンスパーティは別ですが・・・ ^^
by 般若坊 (2016-08-27 09:19)
ワルツが遠のいた近年、大好きな曲を聴くことができ、いい朝です。
隣人の告別式の朝だけにレクイエムより明るく送ることができそうです。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-08-27 10:18)
暁烏 英(あけがらす ひで)さん こんにちは。
今日は、ご近所の方の告別式ですか・・・
雨雲が垂れ込め、霧雨が振り出しました。涙雨でしょうね。
by 般若坊 (2016-08-27 10:58)
おはようございます。
女性歌手2人の歌声に魅せられました、素晴しいです。
当地は台風接近で朝から風雨共に大荒れです。
これから先の本番が怖いです。
by 旅爺さん (2016-08-30 08:58)
旅爺さん こんにちは。
どうやら関東地方への台風10号の上陸は免れたようです。
これから東北地方へ接近上陸が懸念されますが、無事何事もなく通り過ぎてほしいものですが、くれぐれもご注意くださいね!
昨夜から今朝にかけて、何度も起きて様子を伺がっていました。
当方は、これ以上天候が急変することはないだろうと思い、午後から太極拳の練習に出かける予定です。
by 般若坊 (2016-08-30 10:28)